STORY
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古くは「箱館」と称された道南の地で、郷宝は醸されます。仕込み水は、横津岳の伏流水。中軟水で、酒造りに適しています。酒米は、北海道水田発祥の地である大野平野で地元の契約農家が栽培する「吟風」、「彗星」、「きたしずく」。道内では比較的温暖な気候、肥沃な土壌、そして生産者の情熱が育む酒米は、大きく粒が揃い、タンパク質の含有率が低く、酒に品の良い旨味をもたらします。地元との強い絆のもとで、より良い酒造りを絶えず探求し続けていきます。水、米、人、すべてを地元の宝で醸し、道南テロワールが息づく酒。それが郷宝です。
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蔵で酒を醸す。その工程は精米から始まります。郷宝では、地元の生産者が丹精込めて作った酒米を、丁寧に自社で精米して使用します。収穫される酒米の硬さや水分量などは、毎年の気象条件などにより微妙に違いが生じるもの。蔵人が自らの感性で判断し、きめ細やかに精米歩合を調整しています。酒米の旨みや香り、テロワールの個性を余すことなく引き出すには、自社精米による繊細な品質管理が不可欠なのです。また、箱館醸蔵では『四季醸造』を取り入れています。年間生産量は決して多くはありませんが、妥協なく技と心を注ぎ込み、四季を通じて、しぼりたての郷宝をお届けいたします。
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箱館醸蔵の杜氏 東谷浩樹は、約30年にわたり北海道で酒造りに打ち込み、全国新酒鑑評会 金賞(通算3度・令和2年現在)の他、数多の受賞歴を持つ北海道の名匠です。真摯に酒造りと向き合い、「“本当の地酒”とは何なのか」と自問自答を繰り返してきた東谷が、辿り着いたひとつの答えが「その土地で採れた酒米で、その土地の仕込み水で、その土地の風土を生かした地酒を醸す」こと。それこそが唯一無二の地酒と信じ、郷宝では道南テロワールの具現化に全身全霊を注ぎ、この地の水と酒米を尊重した『淡麗旨口』を志向していきます。「郷宝に携わる地元の人々の熱意までも感じてもらえるような、資質を持った地酒を造りたい」。そう東谷が語るように、つねに郷宝は道南の心を映し出す酒でありたいと願っています。